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雌ラットにおけるアロキサン第4脳室内投与がパルス状黄体形成ホルモン分泌に及ぼす影響

摂食行動および性腺機能を制御するグルコース感知機構が後脳に存在することが示唆されてきた。後脳第4脳室上衣細胞は膵島B細胞のグルコース感知において重要な役割を果たす酵素であるグルコキナーゼ(GK)を持つことが示唆されている。本実験ではGK免疫陽性の第4脳室上衣細胞がグルコースを感知することで性腺機能の制御に関与しているかを明らかにするため、GK活性の阻害剤であるアロキサンを第4脳室に投与したときのパルス状黄体形成ホルモン(LH)の変化を調べた。卵巣除去後、エストロゲンを皮下に植え込んだラットの第4脳室にアロキサンμg)を投与し3時間6分おきに採血し、血中LH及びコルチコステロン濃度を測定した。ア...

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Published in:The Journal of reproduction and development 2004-06, Vol.50 (3), p.279-285
Main Authors: 木下, 美香, I'anson, H, 束村, 博子, 前多, 敬一郎
Format: Article
Language:Japanese
Online Access:Get full text
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Description
Summary:摂食行動および性腺機能を制御するグルコース感知機構が後脳に存在することが示唆されてきた。後脳第4脳室上衣細胞は膵島B細胞のグルコース感知において重要な役割を果たす酵素であるグルコキナーゼ(GK)を持つことが示唆されている。本実験ではGK免疫陽性の第4脳室上衣細胞がグルコースを感知することで性腺機能の制御に関与しているかを明らかにするため、GK活性の阻害剤であるアロキサンを第4脳室に投与したときのパルス状黄体形成ホルモン(LH)の変化を調べた。卵巣除去後、エストロゲンを皮下に植え込んだラットの第4脳室にアロキサンμg)を投与し3時間6分おきに採血し、血中LH及びコルチコステロン濃度を測定した。アロキサンμgを投与した処置群においてパルス状LH分泌は抑制され、平均血中LH濃度、及びLHパルスの頻度と振幅は、有意に低下した。また、血中コルチコステロン濃度は有意に上昇した。本実験の結果から、後脳におけるGK活性の抑制はパルス状LH分泌抑制を引き起こすことが明らかとなり、第4脳室上衣細胞が、脳脊髄液中のグルコースを感知することでパルス状LH分泌の制御に関与することが示唆された。
ISSN:0916-8818